俺の背後にはいつでも鬼が付いてるんです。それはもう、恐ろしくて、いつも目を光らせて俺のことを睨んでいます。
そんな鬼が、どうやら結婚してるのではないかという疑惑がありました。
でも、そんな話はまずありえないと思っていました。
天と地がひっくり返っても起こり得ない話だと。
なぜなら、鬼隊長だからです。新人をいびることを生きがいにしているような男だからです。
そんな非道な人間がいる一方で、俺に癒しを与えてくれる人もいます。会社近くにある昔ながらの喫茶店。そこの店員の八城さんは、とにかく優しい雰囲気の女性なんです。既婚者だから一定の距離を保っているものの、彼女と話すとついついニヤついてしまうというものです。
さあ、別々の世界線を歩んでいそうなこの2人。でもそう見えていたのは俺だけだったようなんです。
夕方の商店街で、八城さんと柿原隊長が並んで歩いているではありませんか。
しかも、八城さんが店員さんから受け取った買い物袋を、自然と柿原さんが貰い受けているではありませんか。
そして、ここにきて生きてくる勇哉の情報。
柿原隊長の左手薬指には、幸せの光りが輝いているではありませんか。
それは隣に立つ八城さんも同じ。



