《小澤》

俺の希望の満ちた未来が、一瞬にして閉ざされた。
いや、閉ざされただけならまだ何倍も良い。
閉ざされた扉の迂回先は、地獄への入り口だったんだから。
「なんだよこの配属!…終わった」 

真っ暗になった目の前。
俺の視線の先に貼りだされた紙には、これから任務を遂行する上では欠かせないペアの名前が書かれている。
このペアの相手によって、新人への評価が変わるし今後の幹部候補の選出にも影響してくる。
上に行ければ給料も上がるし、より女性から人気を得られるということだ。
つまり、ペアの相手が人生を左右すると言っても過言ではない!
というのに…。

ずらりと並んだ名前の中に、俺の名前はあった。
小澤竜聖。そして、その隣には、柿原翔太。
何度瞬きしても、頬をつねっても、その名前は変わらない。

それは、最も組みたくない相手。柿原翔太と書いて鬼とも魔王とも呼ぶ。
ありえないだろ。新人の俺の相手が、身辺警護部の隊長である柿原隊長?
上層部もどうかしてるって。いくらなんでも新人に鬼をつけることはないだろうって、みんな高を括ってたじゃないか。もちろん俺だって。