鬼の目にも慕情


《柿原》

今日は一日事務処理で終わった。自分の性格からして、どうもこういうじっとしてこなすだけの仕事は苦手。どうせなら不審者追いかけまわしてたい。そっちの方が楽だといら感じる。早く夕食食べて横になるか。
睡魔と疲れを連れて玄関を開ける。

「おかえりなさい!ねぇ、早く来て!」
リビングから出てきたかと思うと、すぐに腕を掴んで奥へと引っ張る。
「何?なんかあったの?」
「いいからいいから!」
いつも笑顔で出迎えてくれるけど、今夜は一段と弾けてる。この部屋の奥に、いったい何が待ってるというんだろうか。
「ここからは目隠しです」
なんて言われて、後ろから手で目を覆われる。
「そのまま真っすぐ進んで」
全く見えない視界の中を、後ろから聞こえてくる声を頼りに、若干腰を屈めて進んでいく。