「とてもくだらないことだと思う。取るに足らないことでいつも悩むんだ」

「でも、悩みは悩みだよ。よかったら聞くよ?」

弥生がウィリアムを見つめると、そっと頭の上に手が置かれる。ウィリアムの手の温もりに、弥生は泣き出しそうになった。

「弥生の仕事が終わってからでいいよ」

そう微笑むウィリアムの顔が愛しい。弥生はずっと、ウィリアムに片想いをしている。ずっと進展することのない、いい方にも悪い方にも進まないこの恋を、弥生はずっと抱えていた。

「I miss you(あなたがいなくて寂しい)」

その台詞を、ウィリアムの前で何度も言いたくなったことがある。そうして振り向いてほしいという気持ちがあったものの、今ではすっかりこの恋は諦めムードだ。今さら、マイナスな気持ちを蹴飛ばす気にはなれない。

ウィリアムは、どんなに可愛い女の子の告白でも必ず断る。それはきっと、ウィリアムの好きなタイプのハードルが高いのだろう。自分には敵わない。そう思ったのだ。