「何となく、帰る気分じゃなくてさ。……それに、弥生の仕事を手伝いたいし」

優しく微笑まれ、弥生は「ありがとう」と微笑み返す。日本人男性にはない魅力をウィリアムは放っている。同僚、後輩の女性からの人気が高く、告白されたこともあるらしいが、彼女はいないらしい。こんなイケメンなのにもったいないと弥生は思う。

「でも、これは私の仕事だから。そうだ!ウィリアムとお話ししながら仕事をしようかな」

手伝ってもらうことが申し訳なく、弥生はウィリアムと話すことにした。仕事の話をちょくちょくすることはあっても、プライベートな話を仲良くしたことはあまりない。

「それで弥生が満足するなら……」

ウィリアムはそう言い、スマホを開ける。彼はニュースが好きでよくスマホでニュースを見ている。面白いニュースなどを探してくれているみたいだ。

以前、ニュースの話をした時にウィリアムはこう言っていたっけと弥生は思い返す。

「日本のニュースって変わってるね。地元の子どもたちの入学式だったとか、桜の花が咲く日がいつとかほのぼのしてる!」

あの時のウィリアムの顔は、とても可愛らしい笑顔だった。弥生の頭の中に焼き付いている。