結局、お母さんの働く病院に行って言われた言葉は『骨折』だった。






「せっかくの春休みなのに残念ね。大人しくしておきなさいよ」






私を家まで送り届けた後、お母さんはまた病院へと戻っていった。





私は今日から松葉杖生活…。






バイト先にも連絡をして、1ヶ月ほど休むことを伝えた。





接客業をしているため、こんな足じゃ使い物にならないからね。







「奏、やっぱり折れてた?」



「みたい」



「そっか…。困ったことがあったら言えよ」





私が一応病人だからか、お兄ちゃんがいつもより優しい。




ちょっといじめてやろう。






「ありがとう。さっそくなんだけどさ…」




「どうした?」



「彼氏が浮気してたんだけどどう思う?」





私がそういうと、お兄ちゃんは少し驚いた顔をした。





だって私に彼氏がいること自体知らないはず。




そんなお兄ちゃんを見てすこしクスッとなった。




「お前がどうしたいかじゃない?」




すこし考えたのちに出てきた言葉はそれだった。






「うーん。このまま付き合うのは難しいと思う」




「それなら別れるべきじゃない?」



「それもそうだね!別れよう!」





朝起きて携帯を見ると、そこには大量の連絡が入っていた。




『ごめん』


『別れたくない』


『お前だけだから』





並べられた言葉の数々は、どれを見ても寒気がした。





好きだと思っていた彼氏はたった一回の浮気で好きから嫌いへと変わった。





どうしてか、浮気されたことへのショックは1ミリもなかった。






そうと決まればすぐにこの気持ちを伝えよう。




心変わりする気はないけどこのままダラダラと関係を続ける気もないしね。






ープルルルルルルルルル



『奏、ごめん!』




電話をかけると相手はすぐに出てくれて、そしてすぐに謝ってきた。





「なにが?」


『なにがって…昨日……』


「そのことなんだけどさ」


『ほんっとうにごめん!俺、別れたくない…』





私の言葉を遮ってまで謝り続ける彼氏。



なんだか心底冷めてきちゃったかも。





「申し訳ないけど私は別れたい。好きじゃないから」




『もう絶対に浮気はしないから…だから考え直して欲しい』



「ごめん。その言葉信じられないや」




『奏…俺は今でもお前のこと好きだよ…?戻ってきていいんだよ…?』






え…!?ナニソレ…



ここにきて上から目線なのは何故…?




私はその言葉を聞いて押さえていたものが堪え切れなくなってしまった。





「私はもう嫌い。別れてほしいの。あなたの言葉なんて信じられないし、今さらなにを言われても響かないから」




『それ、本気で言ってる…?』



「この場に及んで嘘なんて付くわけないでしょ」



『本当にごめんなさい…なんでもするから…』



「その姿勢なに?私とあなたは終わったの。これ以上話してても意味がないから切るね。お元気で」




『ちょっ、まっ ープツッ



ーツ-

ーツ-