「それであのー社長はいいんですか?私なんかと結婚して。会って間もないのに。」
私の言葉に社長は
「僕の妻を″なんか″なんて言わないでほしいな!それにいいんだよ僕が望んだから君と結婚したまでだ。僕は嫌なことはちゃんと言うし雫も遠慮しないで言ってよー。なんかあったらさっ!」
すごいな。
初めて会った日に初めて会った知らない女からの無理な結婚話を聞き入れて結婚して、”僕が望んだ“なんて。
「すごいですね社長は。さすがです。いつでも社員のことを考えているんですね。」
私は何故だか怒りと悲しみに押しつぶされそうになっていた。

『光明グループ社長 光明煇 』
私が初めて社長を知ったのは新聞だった。
記事に書かれていたある言葉につられてこの会社に入ったのだ。
「僕の会社は個人の個性を尊重する。それぞれのやりたいように、やりやすいように、それぞれのやり方で自由に仕事をしてみてください。僕は誰もが仕事のしやすい会社をつくります。」
大体こんな感じの記事だった。
私はこの記事に惹かれてしまったのだ。
今の会社にいるのはそれが理由、実際私はあまり人と話すのが好きじゃないからとてもいいと思った。