「あっ起きた!!」
朝起きたら知らない場所にいて知らない人が目の前にいた。
「あのっ。誰ですか?ここどこですか?」
慌てながら真っ直ぐ前を見てそう言った時
あっ社長だ
「ひどいなー!夫に対してその言い草は。昨日のこと何も覚えてないの?」
やばッ社長にすごい口調で話してしまった。どうしよう。どうしよ?んっ!!んっ!?
「あのー夫てなんです?」
「あーやっぱ覚えてないの?昨日さーあのあと君倒れたじゃん!そのあと病院に連れてったんだけど、過労だって言われたから僕の家で休んでもらおうと思って連れて来たんだけどさ」
何も覚えていない私に昨日のことを分かりやすく教えてくれる社長の話を私は真剣に聞いていた。
「そしたら僕の机の上にあった婚姻届見て雫が、私と結婚してー!って可愛く言うからさー。」
私そんなこと言ったのか。どうしよう恥ずかしい。
「あのそれで…」
「だから雫が可愛いから思わず。婚姻届出しちゃったんだよねー。」
私は体を停止したまま瞬きを50回くらいした。
それはつまり私は社長と結婚したのか。マジか
「だよねー。じゃないですよ。仮にも大企業の社長でしょ、そんなノリで結婚とか何考えてんですか。!」
あまりの出来事に私はあることを忘れていた。
「いいのー?喋り方戻ってるよー。」
社長が意地悪な顔して笑いながらそう言ったのでようやく思い出した。
「アッッッ!」
私が平常心を失っているのを見ながら楽しそうに笑う社長にムカついてついうっかり社長の頭を蹴ってしまった。
「いてっ!あはは夫の頭を蹴るとはいい度胸だね。」
そう言いながらも笑うことをやめない社長に私は
「あのっどうして喋り方とか知ってるの?会社で喋ったことなかったのに」
私は焦りに気を取られ敬語とか全て忘れて社長と話していた。
「あはは」
真剣に聞いている私に対してずっとふざけた顔して笑ってる社長にもう耐えられなくて
「おい。お前私の話聞いてんのか?」
すんごい言葉使いで怒鳴ってしまった。
「いいね。それぞくぞくする。可愛いよ!。雫僕を社長と呼ぶのはやめてくれない?名前で呼んでよ。」
また流された。もういいやこの話はまた今度聞こう。
それより社長の名前ってなんだっけ。
「雫?」
私が名前を思い出そうと必死なっていると優しく私の名前を呼ぶ社長に平然と
「名前なんでしたっけ?」
「えっー!!忘れた?今日で!昨日名乗ったよ!ねえ聞いてなかったの?」
泣きそうな顔しながら笑い半分にそう言った社長に私は思わず
「あはははは」
大爆笑してしまった。
「ちょっと何笑ってるの?ー」
ムスーとしながらも社長の顔にはなぜか少しだけ笑顔が残っていた。
私はそれがとても不思議で。少しだけ社長に興味が湧いた。