あの事件から1週間がたった今日。
ーー集会が開かれる
今まで準備のために動いてたみんなが揃う日。
ー…蓮は来るだろうか。
そんなことを考えるあたしに、まだ頭に痛々しい包帯が残る波瑠はそんなあたしに寄り添ってくれる。
「千晃、大丈夫だよ。そんな顔しないで」
「…ありがとう、波瑠」
でもそんな風には思えない、明らかにみんなが疲れてるのをあたしは知ってるんだ。
ねぇ、蓮が暴れてるんでしょ?
街で暴走してるんでしょ?
それを奏太が止めに走ってるんでしょ?
闇雲にひとりで動くなって。
あの日のことを思い出す
敦先輩は波瑠のところへ。
慎と奏太はあたしのところへ。
波瑠はそのまま病院へ行って処置をしてもらったから大事には至らなかった
でも、こっちはそうもいかなかった
蓮があたしから手を引っ込めて背中を向けて去っていく
「おい、蓮!どこ行くんだよ!」
奏太は声をかける、その声にも止まらない蓮を見つめて悔しそうな顔であたしを見て言った
「だから、俺らに関わんなって言っただろうがぁ!!中途半端な覚悟で俺らの、蓮の中に入ってくるんじゃねぇよ!」
その言葉を聞いてさらに首を何かで締め付けられたかのように息ができなかった。
だって、その通りだったから。
あたしのわがままでみんなと一緒にいたいと思った。だから、正直こんなにみんなが喧嘩して相手を殴りつけるとこを目の前で見ることになるとは思ってなかった。
ー…あたしの覚悟は全くなかった
慎たちといるってことはそれなりのことを覚悟してないといけなかった。
慎、蓮、波瑠、奏太、敦先輩が殴られたり相手を殴ったり。他のみんなもそういう世界に生きてるんだということをあたしは何一つわかってなかった
その言葉を聞いた瞬間、あたしはなんて愚かなんだろうかと思った。
泣いていい立場なんかじゃ全くなかった
自分の低能さ加減に腹が立つ
もっと自分が強ければ波瑠を残していくことも、蓮が怒る前に止めるのともーーー…一緒に闘うことだって出来たはずなのに。
自分の弱さに腹が立つ、甘さに腹が立つ
ー…守りたいものを守れないのはもう懲り懲りなんだ
そんなあたしの思考を遮るかのように倉庫に着いて敦先輩がドアを開けて迎えてくれる
「千晃ちゃん、俺と波瑠のそばから離れないでね、危ないから。」
ニコッと優しく微笑んでくれる。
いつもの倉庫は妙な緊張感と知らない男の人たちで溢れかえっていた
