蓮の顔をチラッと見るけどいつもより真顔で何を考えてるのか全く読めなかった
「その大蛇の頭の名前がやっとわかった。今まで人を使ってしか仕掛けてこなかったけど今回は確かな情報だと俺たちは踏んでる。」
大蛇の頭、きっとそれは多分
「俺の双子の兄貴、雨宮蘭(アマミヤラン)だ。」
敦先輩の話の後に続いた蓮をびっくりしてみる
その言葉を告げる蓮の顔から感情が欠如したみたいにピクリとも表情が動かなかった
「それはほんとですかい?まさか蓮くんのお兄さんが?」
ここにいて初めて口を開いたのはちょっと見た目とは違って低い声を出した鳥居さんだった
見た目はどちらかというと波瑠みたいな可愛らしい感じなのに結構ドスの効いた声で話し出す
「今まで蓮くんもこのことは知らなかったのかい?」
全員の視線が蓮に刺さる。
できるならその視線を受け止めてあげたい、何かに責められるような見方をされるのは誰だって辛い
でも蓮の表彰は何一つ変わらない
「あぁ、知らなかった。中3の終わり頃からもう会ってねぇ。この前久しぶりに会った」
この場にいる全員がある意味なにかを察したのか黙った
でも1人だけ無神経な奴がいる
「なにそれ、兄弟間のもつれからきた争いなの?それに僕たちは巻き込まれたってわけ?すんごい迷惑なんですけど。」
どうして、この人はこんな言葉しか相手に投げかけることが出来んないんだろう。
思わずムカついて言い返そうと思ったけどできなかった
それはあたしよりも先に動いた人がいたから
「次なんか話したらその喉潰すぞ?」
一瞬の出来事でなにが起こったのかはよく見えなかったけど黒崎の首を絞める奏太がそこにいた
「な、なんだよ!!」
少し額に冷や汗をかきながらも強気な体制を崩さない黒崎
「だから、喋んなって言ってんだろ?」
冷ややかな笑みを浮かべてさらに力を込める奏多
あの時を思い出す、強く警告された出会いたての頃を。
「奏太、やめろ。」
誰もが息を飲み、黙っている沈黙を破ったのは蓮だった
「蓮がよくても俺が許せねぇ」
「いいからやめろ。」
なんだか珍しい光景を見た気がした
いつも止めるのは奏太で、暴走するのが蓮だったから
「チッ、言葉は選んで喋れよ?」
盛大な舌打ちと脅しを残して奏太は黒崎から離れる
さっきより、たくさん汗をかいた黒崎はまるで自分の呼吸を確認するかのように喉に手を当てる
「おいおい、ヤベェ奴を怒らせるんじゃねぇよ」
白田がケタケタと笑う
「いい加減にしろ。話ができねぇ。妨害すんならお前ら外れろ」
慎がギロリといつもは少しタレ目な目を吊り上げて蓮たちの方を見る
「はいはーい、もう邪魔しないよ〜」
奏太は手をヒラヒラと振っていつものヘラヘラしてる奏太に戻る
どれが本当の奏太なのかよくわからない。
でも、一つわかることは、誰よりも蓮に肩入れしてること。
どうしてあの2人はあんなに深く繋がってるのかよくわからないけど、すごく信頼し合ってて、奏太の方はちょっと狂気さじみていてゾッとするくらいだけど、それでもお互いのことをとても大事にしてる気がする
