倉庫に戻ると既に集会は始まってるのか、ここに来た時のザワザワはあまりなくて視線が奥の方に集中していた
「離れんじゃねぇぞ」
蓮に頷きだけ返して後ろをおとなしく付いていく
でもどんどん視界が集まる方に進んでるのと、ガラの悪いお兄さんたちが道を開けることでさらに視線がこっちに向くので居た堪れない気持ちになる
「あ!千晃ー!お帰りなさいっ」
俯きそうになる顔を声のする方に向けると波瑠が満面の笑みで迎えてくれた
「波瑠、ただいま」
駆け寄ってくる波瑠のフワフワな髪を撫でる
なんだろうな、この小動物感。
「千晃ちゃん、こっちこっち。」
敦先輩に手を引かれて慎が座っている二人掛けのソファーに座らされる
「大丈夫だった?」
敦先輩が困ったように笑う
その笑い方はもう癖なんだろうなと思いつつ、あたしも笑いかける
「大丈夫でしたよ。ちゃんと蓮が無茶しないように見張ってただけですから」
「そっか、ありがとう」
少しだけホッとした顔をしてまたいつもの笑顔に戻る
「遅い。」
隣に座る慎が一言発する
あたしに言われてるのかと一瞬思ったけど蓮が舌打ちしたのであたしじゃないことがわかった
「悪かった」
「あぁ。」
この2人、ほんと会話短いな。それでも通じ合えてるんだから凄いよね。
「なぁ、そろそろ本題に入ってもらってもいい?」
左側から声が聞こえてそちらを向くと黒髪のアシメがこちらを、というかあたしをガン見していた
「そうだね。じゃあ全員集まったからまず簡単な自己紹介だけしとくね。」
敦先輩は一瞬だけ黒髪の男を一瞥してこっちにニコリと笑っていう
…なんとなくだけどこの2人あんまり仲良くない?
敦先輩の纏う空気が若干冷たかった気がするからかもしれないけど、そう思った
「今話しかけてきたのは、俺たちと同盟を組んでる“八咫烏”の黒崎ね、それからその隣に座るオレンジの頭が“不死鳥”の鳥居で、黒崎の向かいに座る白髪のやつは“一角獣”の白田。」
黒髪はヤタガラスの黒崎
オレンジはフェニックスの鳥居
白髪はユニコーンの白田
うん、覚えた。
敦先輩に頷くと意味がわかったのか今度はこちら側の紹介をする
「で、これから本題に関わってくる、神獣の姫、春山千晃ちゃん。あ、手出しは無用で頼むよ?」
まるで釘を指すような珍しく角が立つような言い方をする敦先輩が気になって見るとある一点を見つめているので視線の先を目で追うとその人と目があった
「はっ、言われなくても手なんかださねぇよ」
白田くんは吐き捨てるようにケッと鼻で笑う
そんな白田を見ていると突然話しかけられた
「ねぇ、君さ、何考えてるの?」
「え?」
思わずなんのことかと思ってすっとぼけた声が出る
「いや、だから。なんのためにここにいるのって聞いてるの。」
黒崎くんの言ってる言葉にハテナがたくさん浮かぶ
どうしてこうも不良は主語と目的語がないのだろうか、もっと日本の教育をちゃんと受けるべきだと思う
