その手を離さないで。


「司と高森先輩って仲良いでしょ。2年の先輩たちも噂してたよ、2人が付き合っているって!だから、司には言いにくかったんだよね。」

「いやいやいや、待って!それ誰からの情報?」
気まずそうに美紀が話し出したが、食い気味に聞き返してしまう。

「誰かは分からないけど、この間高森先輩の家から司が出てきたって話聞いた。」
茉耶の言葉に少し冷静になり、記憶を辿る。

「……、多分それ慶大くんが怪我した日にお見舞い行った帰りだと思う。私たち付き合ってないよ。」

「本当?高森先輩のこと隠しててごめんね。」

「わたしの方こそ勘違いさせてごめん。」

3人の誤解は解けたから良かったけど、この噂のせいで慶大くんに迷惑がかかっていなければいいな。