その手を離さないで。


「私はよく知らない人だから。」
この頃は恭平先輩をよく知らなかった。
後のあの出来事が無ければ、ここまで嫌いになっていなかっただろう。

「何はともあれ勝ててよかったね。」
葉月が明るく言ってくれた。

「次は応援行けるんでしょ?」

「うん!来週の土曜日にあるから行ってくる!」

「ねぇ司、その試合に私も行っていいかな?」
遠慮しがちに美紀が聞いてきたので「一緒に行こう」と誘った。


「実は司には言ってなかったんだけど、私高森先輩のこと好きなんだよね。」

「え!!??慶大くん!?」
少し顔を赤らめて話す美紀が話を続ける。