その手を離さないで。


「失礼しまーす。」

「お!七瀬!!」

職員室に入るなり、担任に呼ばれた。

「バスケ部の結果が今届いたぞ。」

結果を聞いた私は静かに教室へ戻った。


「司、、、試合の結果聞けたの?」
心配して美紀たちが声を掛けてきてくれる。

「聞けたよ。」


試合には無事に勝てたようだ。ただレギュラーの1人が負傷して次の試合には出られないようだ。その代わり恭平先輩という2年生の選手が出るようだ。

恭平先輩は、同じクラスの菜月のお兄さん。正直私は嫌いな人だった。
先輩にはヘコヘコして、同級生にはイキがり、後輩には蔑むような言葉を吐く人だ。ただ、バスケへ対する気持ちは誰よりも強いみたいで練習も誰よりも早く来ていたらしい。

「そっか、菜月のお兄ちゃんが出るんだ。」
美紀たちが顔を見合わせながらそう呟いた。

美紀たち3人と菜月は同じ小学校から来たため、当然恭平先輩のことも知っていた。