その手を離さないで。



「当分は松葉杖なの?」
部屋の隅に置いてある松葉杖に目をやる。

「とりあえずね、大袈裟なんだよ。」

「そんなことないでしょ、靭帯損傷って。」

「ここまで大きい怪我は初めてだよ。」

「たしかに、、慶大くんの怪我してる姿ってあまり見たことないかも。小学校の時跳び箱失敗して腕折ってたくらいじゃない?」

「よく覚えてるな。」

1時間くらい慶大くんの家で話していた。もう夕飯近い時間だったので帰り支度を始める私に慶大くんが「今日は一緒にいてくれてありがと」と呟いた。


門扉のところで慶大くんと別れた。