二人の声には、怒りが含まれている。心配をかけさせてしまったんだ。私の頰に涙が伝う。

「……ごめんなさい……。私がいると迷惑になると思ったんです」

私は正直に全てを話した。でも、本当はこうして話したかったことなども全部。泣きながら話しているから、時々英語がわからなくなって、詰まってしまって……。それでも、二人は最後まで聴いてくれた。

「本当に……ごめんなさい……」

私が顔を上げると、目の前にいるワトソン先生の顔は真っ赤になっていた。ホームズさんを見ても同じように真っ赤に。何で?

「全く……怒りが飛んじゃったよ!」

ワトソン先生が言い、ホームズさんも頷いている。素直に気持ちを言っただけなんだけど……。

「和香」

ホームズさんは私を離し、私の目をまっすぐに見つめる。その目は真剣で、とても綺麗で、そらすことができない。

「僕たちが君にモリアーティのことを隠してしまったことは、本当にすまない。君がそこまで考えていたとは知らなかった。……だからこそ、一緒にロンドンへ帰ってくれないか?和香をちゃんと守りたいんだ」