先輩の彼女

その言葉を聞いて、黒髪のシャツ姿の男性が、こっちへ向かってきた。

「あんた?」

「は、はい。斎藤……」

「ああ、いいから。段ボール持ってこっち来て。」

それだけを言うと、黒髪、シャツ姿の男性は、自分の席まで、また戻って行く。

「有り難うございました。」

私はそのお偉いさんに頭を下げ、黒髪の人に付いて行った。


「ここ、あんたの席。」

「はい。」

思いっきり、黒髪の人の隣だ。

「間野裕一。よろしく。」

「あっ、斎藤……」

「早速だけど、この資料。10部コピーしてきて。」

これで2度目だよ。

自己紹介、遮られたの。


「できないか?」

「いえ、やります。」

私は資料を間野さんから受けとると、段ボールをそのまま机の上に置き、コピー機を探した。

「あっち。」

なぜコピー機を探している事が分かったのか、間野さんは一人でに右奥を指差した。