先輩の彼女

私はとりあえずビールを飲み干し、呼吸を整えた。

「相当、彼氏の事好きなんだね。」

「うん。私もびっくりしてる。こんなに、すっと一緒にいたいって思う人と、巡り会えるなんて。」

心なしか、絹花が以前よりも、綺麗になっているような気がした。

彼氏の話をする時は、つまらない顔を、いつもしていたのに。

今の絹花は、彼氏の事を思い浮かべる度に、微笑んで輝いている。

「そっか……でも25歳で結婚って。仕事どうするの?」

「今結婚が決まったとしたって、早くても来年だよ?子供を産む事を考えたら、今考えないと。」

「今!?」

「それにさ。私は久実の仕事とは違って、歳を取る毎に仕事が少なくなるでしょう?一生モデルとしてやっていける人なんて、ほんの一握り。ちやほやされているうちに、結婚しておきたいの。」

モデルという職業が、決して若さを売りにする仕事だって、私は思えないけれど、本人がそう言うんだったら、そう言う面もあるのかな。