先輩の彼女

間野さんが連れて行ってくれた先は、駅の地下街。

美味しい食事処が集まっていると言う、噂の場所。

「何がいい?洋食、和食、中華……ラーメンや蕎麦もあるぞ。」

「何でもあるんですね、ここ。」

「駅の地下街は、大抵何でもあるよ。」

フラフラ歩いている間野さんの後ろを、そのまま歩いてい行く。

あーあ。

よかった、生きてて。


「早く決めろよ。地下街が終わってしまうだろう。」

「ああ、じゃあ。お蕎麦にしません?あそこ、信州蕎麦って書いてありますよ。」

「はいはい。蕎麦ね。」

数メートル戻って、信州蕎麦のお店に入った私達。

ちょうど二人分、席が空いていて、待たずに座る事ができた。


「俺は天ざる。斎藤は?」

「私は……ざる蕎麦にします。」

間野さんが手を挙げて、店員さんを呼んだ。

「お姉さん、天ざる二つ。」

「えっ!!」

私、ざる蕎麦って言わなかった?

「いいです。天ざる二つ。」