先輩の彼女

間野さんの訳の分からないテンションのまま、車は一つの店の駐車場へ入った。

「ここだ、斎藤。」

「はい。」

車から降り、人気の少ない入り口へ向かう。

お店に入り、一番奥がレジカウンターになっていた。

間野さんはそのレジへと、直進した。


「お世話になっております、東洋出版の間野と申します。」

「ああ。夕方、連絡くれた方?」

レジにいる店員さんよりも、更に奥にいた年配の人が、間野さんの元へやってきた。

「はい、これね。」

そこには、一昔前の作画の漫画があった。

「よかったね。最後の1冊、棚の奥にあって。」

「お手数かけました。」

間野さんと一緒に、その年配の方と、レジにいた店員さんに一礼する。

「それにしても、懐かしいな。その本。」

年配の人が、しみじみと語りだした。

「その本が飛ぶように売れていたのは、私がまだ若い頃でね。周りの女性社員は、みんな買ってましたよ。」