先輩の彼女

「はい!」

好きな事を仕事にできる。

そう言われると、自分は幸せだなって思う。

「間野さんは?」

「俺か?俺はとりあえず、就職試験受けられるとこ、片っ端から受けてな。合格したところよ。」

「へえ~。でもなんで、この会社に?」

「だから、ここしか受からなかったのさ。」

しばらく、車のエンジン音だけが、鳴り響く。

「よかったですね。引っ掛かって。」

「ああ?ああ。」

それでずっと、この会社にいるって、結局合ってたのかな、間野さんに。


「ところで、この時間に向かって、お店開いてるんですか?」

「開いてる。結構大きなの店だから。じゃなければ、俺だってこの時間、車走らせるか!」

時計をチラチラ見ながら、運転をする間野さん。

そのハンドルに伸びる腕が、意外にも逞しい。


「腹、減ったか?」

「まあ……」

「待ってろよ。」

間野さんは、すかさずハンドルをきった。