先輩の彼女

「は~あ。よかった。」

白石さんは、ドアが閉まったタイミングで、背伸びをした。

「このまま見つからなかったら、徹夜だと思った。」

「徹夜!?」

一瞬、背中がブルッと震えた。

「じゃあ、俺は仕事に戻るね。斎藤さん、気を付けていってらっしゃい。」

「はい、有り難うございます。」

話ばかりして、一向に探してないような気がするけれど、とりあえず白石さんに、頭を下げた。


二人で倉庫を出て、営業部に戻ると、カバンを持った。

「部長。探していた在庫、間野さんが見つけてくれたみたいなので、一緒に取りに行ってきます。」

「ああ。間野から聞いてる。遠くて大変だが、頼むよ。」

「はい?」

遠い?

この周辺じゃないって事?

不思議に思いながら、急いで玄関口へ走った。

外には既に、車が停まっている。

私が近づくと、窓が開いて、間野さんが顔を覗かせた。

「遅い!」

「すみません!」