先輩の彼女

「こうやって見ると、工藤さん。あんまり営業力なかった人だったのかな。」

白石さんの言葉に、頭の上に?。

「見てて、分からなかったんですか?」

「分かんないよ。数字は普通にノルマ越えてたし。やたら元気で明るいし。バリバリ売れてるって事はなかったけれど、そこそこ売れてた感じ?」

「そうなんですか。」

書店の矢田さんの発言と言い、白石さんのイメージと言い、前任の工藤さんって人は、いろんな顔を持っていたのか?

「とにかく探すしかないの?」

「お願いします、白石さん。」

私が営業部に来て、初めての大仕事かもしれないんだから。

頑張ってよ、白石さん!


すると、突然倉庫のドアが開いた。

「斎藤!在庫があったぞ!」

「ええ!」

入ってきた間野さんが、ニヤッと笑う。

「今から取りに行く。車出すから、斎藤は玄関口で待ってろ。」

「は、はい。」

急な展開に、半分思考が追い付かない。