先輩の彼女

「しかし漫画本って、そこそこ人気があるから単行本になるのに。こうやって、売れ残るんだな。」

「えっ?これ、売れ残りなんですか!」

「そうだよ。全部売れてたら、出版社に戻って来ないでしょ。」

頭が重い。

あれだけ一生懸命、漫画家さんや担当者と一緒に、あーでもない、こーでもないって試行錯誤したタイトルが、こうやって、売れ残るなんて。

厳しい!


「だけど、少年漫画だけは、売れ残り少ないんだよな。」

白石さんの言葉が、胸に引っ掛かる。

「それはどうしてなんですか?」

「分からないけどさ。先輩の力なんじゃないの?」

先輩って、間野さんの事か。

「部長が言ってたんだけどさ。黙ってても売れる本は売れる。そうじゃない本を、如何にして売るかが営業だって。」

段ボールの中に入っている、売れ残った本を1冊1冊確認していくうちに、なんだか寂しくなってきた。


営業がもう少し頑張れば、この本達はこんな暗い倉庫に来なくてもよかったのかなって。