先輩の彼女

私と白石さんは、お互いの顔を見合わせた。

「俺はこっちで、書店に在庫がないか、片っ端から電話する。お前らは倉庫に行け。」

「あっ、じゃあ俺、そっちやります。」

「白石~。」

またさっきの封筒を振り上げると、白石さんは慌ててオフィスを出て行った。

訳も分からず、それに付いて行く私。

倉庫はオフィスを出て、廊下の突き当たりという、意外にも近くにあった。


倉庫のドアを開けて、パチッと電気を付けた白石さんは、髪の毛をクシャクシャに、掻きまくった。

「俺、ここ苦手なんだよね。」

「どうしてですか?」

「斎藤さんは、休憩室の奥のスペース、行った事ある?」

「はい。今日行きました。」

「そこの一番奥のレディコミのスペースに、似てるんだよね。」

そう言った白石さんは、突然口を手で覆った。

「ごめん!斎藤さんって、レディコミの担当だったよね。」

「あっ、いいんです。言ってる事、分かりますんで。」