先輩の彼女

「す、すみません!」

これはもう、謝るしかない。

「次行くぞ。」

「はい!」

返事をした私に、間野さんは振り返ると、立ち止まった。

「……今から行く書店にも、在庫があるか聞いて来いよ。」

「分かってます!」

鼻息満載で、意気込みを示した私は、早速ファイルを捲った。


「……次ってここですか?」

私は間野さんに、ファイルを見せた。

「ああ、そうだ。」

見れば、レディコミ部門は、いづれも小さい店ばかり。

なんで今日は、こういうチョイスなの!?

「あの~……」

「どうした?」

「今日行く書店って、レディースにあまり力を入れていない場所ばかりだと思うんですが……」

「なんだ?不満なのか?」

「いいえ!」

間野さんにジロッと睨まれたら、何も言えないじゃん。

「とにかく、やれる事はやってみろ。」

「はい。」


営業部初日。

先ずは、言われるがまま、営業を肌で感じる事に、専念だ。