先輩の彼女

「お店に在庫がない本だったので、発注したのですが、1週間も経つのに、入ってこなくて。確認したら、発注がされていなくて。明日にはそのお客さん、その本を取りに来ちゃうんです。普通に発注したら、明後日になるし。なんとかならないですかね。」

そんな大事な事を、今日気づくのですか?

「何冊必要なんですか?」

「1冊です。」

私に救いを求めている矢田さんに、私が救わねばという思いが沸き上がる。


「おい!斎藤!」

後ろで間野さんが、私を呼んでいる。

「分かりました。明日までですね。なんとかします。」

「宜しくお願いします、斎藤さん!」

また矢田さんに頭を下げながら、間野さんの元へ戻った。

「なんだって?担当者。」

「それが発注ミスって、明日までなんとかなりませんかって。」

「なんて言うタイトルだ?」

私は間野さんの元へ戻る時に書いた、走り書きのメモを彼に見せた。