先輩の彼女

「よろしくお願いします。」

なんだかどっちが、本当の担当者なのか、分からなくなるよ。

「矢田さん、早速なんですが。今度新人作家がデビューする事になりまして、そのポップをお持ちしたんです。」

「えっ?東洋出版さんで、レディコミの新人!?」

ポップを渡す手が、止まった。

「久しぶりですね。期待しちゃうな。」

「有り難うございます。宜しくお願いします。」

私は期待を胸に、少し多目のポップを、矢田さんに渡した。

「じゃあ、また。」

「はい。」

頭を何度も下げて、矢田さんを見送った。

なんとか一つの仕事、クリアしたよ。


「なんだ、お前。ちゃんとできるじゃないか。」

いつの間にか、間野さんが隣にいた。

すかさず、頭を手でカバーする。

「ん?」

「いや、また封筒で叩かれるんじゃないかって。」

「叩くか。そんなバシバシ。」

いや、叩いてましたけど。

そう思いながら。手を下げた。