先輩の彼女

「斎藤、ここがレディースだぞ。」

間野さんに言われて振り返った先は、ここぞ女性の園!

お客さんも、女性、女性、女性!

色気漂う、お姉さまばかり!


「ここはレディースにも力を入れているようだな。ここなら斎藤も、やり易いだろ。」

「はい。」

「頼んだぞ。俺は自分の担当に挨拶に行く。」

「はい。」

そう言って間野さんは、また会社から持ってきた紙袋を持って、店の奥へと消えて行った。

その背中を見送った後、私はレディースの棚を見て回った。

見た事のあるタイトルが、ズラッと並ぶ。

悔しいけど、ほとんど月島社。


実は私、就職する前にレディースコミックにはまった人。

当時お姉さま達に紛れ、大学生のお子さまが、レディースコミックを買う様は、可笑しかったと思う。

でもどうしたって、あの爽やか系ハッピーエンドが物足りなくて。

ドロドロ復讐、昼ドラ系が好きでたまらなかった。