先輩の彼女

「あっ、少年コミックではなく、レディースコミックなのですが……」

「レディース!?」

その店員の人は、酷く驚いていた。

そんなに驚く事?

「ええっと、僕、レディース担当じゃないので……」

「じゃあ、レディース担当の人は?」

「ああ、うーん……」

答えないところを見ると、いないのか、知らないのか。

「んまあ、はっきり言って、レディースは読者層が限られてますからね。」

思った通りの答えだ。

「その中でも、売れてるのはその……」

担当者が答えを濁している事を、私はこの時、知らなかった。

「その……」

尚、答えを求める私に、“しつこい”と言う表情をする担当者。


「渡辺さん。」

「はい。」

他の人から呼ばれ、ほっとした渡辺さんと言う担当者。

「じゃあ、僕呼ばれてるんで。」

「はい。」

渡辺さんに頭を下げ、その場はお開きになった。