先輩の彼女

会社を出て、10分。

一番近い書店に、間野さんは足を運んだ。

「あら!間野さん!ご無沙汰。」

「ご無沙汰です。」

その流れに乗って、次から次へと販促グッズを担当者に渡し、序でに自社の漫画コーナーをチェックする間野さん。

「抜かりないですね。」

「ああ?当然の事だろう。」

私も負け時と、自分の受け持ちであるレディースコミックのところへ行く。


でも行って唖然とした。

コーナーとしては、物凄く小さい。

当然、レディースコミックは、我が社だけではないから、私が知るタイトルは物凄く限られる。

「あの、」

私は近くにいる書店の担当者に、声を掛けた。

「はい?」

「すみません。東洋出版の者です。」

「ああ。」

ああって、せめてお世話になってますとか、ないの?

「いつもお世話になってます。我が社のコミックの売れ行きなんですが……」

「ああ、売れてますよ?特に少年向けの……」