先輩の彼女

少し後ずさりをする。

ここ?

「ああ、ここ本当に暗いよな。」

分かってるんだったら、付いてくるとか、してくださいよ。

「以前ここで、カップルがイチャイチャして、一人は異動、一人は解雇されたから、気を付けろよ。」

私は何気なく、間野さんを見た。

「なんだ?」

「そういう問題ですか?」

もう、見た感じイチャイチャできるくらい甘ったるい感じどころか、おどろおどろしいんですけど。

「うーん。俺だったら、さっさと取る物取って、いち早く撤退するけどな。」

「私だって、そうしますよ。」

こういう所は、意見が一致するみたいですな。

「分かった。どうしても入るのが嫌だったら……」

「嫌だったら?」

もしかして、代わりに取って来てくれるとか?

「これから入る新人に、頼めよ。」

「新人?」

「それまでは、自分で取りに行け。」


ああ、期待しただけ損した。

私は意を決して、紙袋片手に販売促進グッズを取りに行く。