先輩の彼女

すると間野さんは、急に私を見つめた。

「……そうなのか。」

「はい。」

返事をすると、間野さんは何故か急に、立ち上がった。

「そこのファイル、持って。」

「はい。」

何だ?

急に仕事をし出したぞ。

「部長、斎藤を連れて、書店回りしてきます。」

「ああ。」


書店回り?

おおよそ想像がつく、あの漫画を置いてくれる本屋に行って、売れるように頼んでくるって事かな。

「斎藤。こっち。」

間野さんは、休憩スペースの奥にある、薄暗い倉庫に、私を連れてきた。

「ここに俺達が企画して作ってもらったポップとか、販売促進グッズとかあるから。書店回りに行く時は、こういうグッズがないか、まずは確かめろ。あったら必ず持って行け。」

「はい。」

そして間野さんは、近くにある大きな紙袋を取り出した。

「斎藤の担当は、あっち。」

間野さんが指差したのは、もっと薄暗い場所だった。