「……分かりました。待ってます。」

でも、私だって仕事の為に、これを届けなければいけない。

「それに、もっと甘えろ。さっきのキーケースの事だって……」

「先輩?」

間野さんは、右手を握りしめた。

「何で土日、鍵が見つからないのに、俺に相談しないんだよ。連絡がないから、てっきり見つかったって、思ってたじゃないか。」

「そんな事、一々会社の先輩に、相談する人がいますか?」

すると間野さんは、じーっと私を睨んできた。


ひぃー!!

私また、間野さんを怒らせた?


「報・連・相は、社会人の基本だ。」

「す、すみません。」

何で、自宅の鍵が見つからない事を、報告・連絡・相談せねばならないんですか?

「それにな。会社の外で男とイチャつくのは、禁止だ。」

「はあ?」

なんだ、それ?

「飲みに行くんなら、絹花と一緒に行け!もし絹花が無理なら、俺にしとけ!」

その時、心臓がドキンっと鳴った。

「いいな。」

「……はい。」

訳の分からない説教をされ、私は会社の前で、立ち尽くした。