先輩の彼女

そして地獄は、月曜日から始まった。

朝礼の時に自己紹介したっきり、他の人は自分の仕事にかかりっきり。

初めて編集部に配属になった時には、先輩達が一通り声を掛けてくれたのにな。


「間野さん。」

「どうした?」

「私、営業の仕事初めてなんですが、何をしたらいいんですか?」

「そうだな。お前の仕事は、書店に俺たちの会社の漫画をアピールし、1冊でも多く客に単行本を買ってもらう事だ。」

「はあ。」

そう言われても、ピンとこない。

いや、言っている事は分かる。

社会人3年もやっていりゃ、営業の仕事は分かる。

でも私が質問したかったのは、そういう意味じゃなくて。

この場所で、具体的に何をすればよいのか、だ。

「斎藤、担当は何だっけ?」

「レディースコミックだって、言われました。」

「読んだ事は?」

「あります。って言うか、編集部でレディースコミック担当でした。」