「いつまでも、俺が面倒見れるわけじゃないんだ。」

間野さんが、私を見てハッとする。

「……分かってます。」


ずっと、間野さんの側には、いられない。

それは、この前の朝も、痛感させられた。


朝起きて、泊めて貰ったお礼に、朝食を作ろうとして、キッチンを借りようとした時。

「そこは、絹花の場所だから。」

そう言われて、一歩も入らせて貰えなかった。


ここは、私のいるべき場所じゃない。

私はすぐに、身支度を整えて、外に飛び出した。

途中、谷岡君と行ったお店の近くを通ったから、鍵が落ちていないかと、しばらく探し回った。

でも結局見つからなくて、不動産に駆け込んだ。

鍵を無くした弁償代、新しい鍵の工事費、結構かかったけれど、仕方がない。


それよりも悲しかったのは、『鍵、見つかったか?』の連絡の一つも、間野さんからなかった事だ。