先輩の彼女

それでも、間野さんからの返事はない。

「気づいたなら、声も掛けられたのに。案外分からないものですね。」

少し笑いながら話しかけたのに、一切反応なし。

虚しくなる。

「じゃあ、ベッドお借りします。」

尚も反応がないのを確かめて、私は寝室に向かった。


「別清算じゃない。」

「えっ?」

私はリビングの中央で、立ち止まった。

「一人で行った。お前らの近くの席に座って、ずっと気付かれないようにしていた。」

「どうして……そんな事を?」

「あいつ、お前の事狙ってたし。週末だし。酒飲まされてるし。酔わされてるし。ヘロヘロになってるし。これ、お持ち帰りされるなって思って。」


えっ!?

私って、そんな危ない状況だったの?

今さらながら、自分の置かれていた状況を知る。


「だから、二人の後を付けてた。そうしたら、案の定部屋に誘われてるし。誰かさんは断らねーし!」

段々、間野さんの言葉が強くなっていく。