先輩の彼女

さっきとは印象が違うなぁと思いながら、コーヒーを一口飲んだ。

「で?どこから異動してきた?」

「あっ、編集部です。」

「編集部?隣じゃねえか。」

「はい、隣です。」

なんだ。

話すとなかなか、いい人じゃん。

私はコーヒーを飲みながら、ほっとした。


「編集に山田っているだろう。」

「はい。席が隣でした。」

「はははっ!あいつ、俺の同期なんだ。」

山田さんと同期。

意外なところで、繋がりがある人と出会えてよかった。

「あと、帰りまでは荷物の整理してろ。もしかしたら、声掛けるかもしれない。」

「はい。」

間野さんは、さっさとコーヒーを飲み終え、休憩スペースを出て行った。


「はあ。」

異動してきて早々のドタバタ。

そんな事には慣れているけれど、初めて来た場所では、緊張度が違う。


営業か。

私にやっていけるかな。

そんな事を思いながら、コーヒーをまた一口飲んだ。