先輩の彼女

懸命に探してくれている間野さんを見ると、また泣けてくる。

「……本当に、もう……いいですから。」

これ以上、間野さんに怒られたくない。

間野さんは、泣きそうな私の顔を見ると、またタクシーに乗った。

「運転手さん、ここ左に曲がって下さい。」

「はい。」

タクシーは、私の家とは別な方向へ。


「先輩?どこへ……」

「いいから。」

しばらくして着いた場所は、高層タワーマンションだった。

「降りて。」

「は、はい。」

もうビビりまくっている私は、間野さんの言われるがまま、タクシーを降りた。

「こっち。」

手招きされながら、高層マンションに入って行く。

「ここって?」

「俺の家。」

「えっ!?」

またカバンを抱き締め、周りを見渡す。

なんで、同じ日に二度も、男の部屋に誘われなきゃいけないのか。


「誤解するな。鍵がないから連れてきただけだ。誰がお前を襲うか!」