先輩の彼女

「ええー?」

二十歳の男の子が、居酒屋?

あっ、いや。

大衆居酒屋なんかには、そのくらいの年代の人達が、わんさかいるんだろうけど。

こんなお洒落なお店、ご馳走になっておきながら、そんな所に連れて行ったら、満足しないだろうし。

そうなると、あの行きつけの居酒屋?

絶対、お店の人達の格好の餌食になるだろうなぁ。


「久実さん?」

谷岡君が不思議そうな顔で、私を覗き込む。

「ああ、ごめん。」

いらない想像をしていたら、さっき頼んだ食べ物が来た。

「頂きま~す。」

「どうぞ。僕が作ったんじゃないけど。」

そんな冗談を言える谷岡君は、きっと営業部に来ても、仕事できるんだろうなって思う。

偶然、一緒に飲む流れになったけれど、知ってるバイトの子と、たまにそう言うのもいいな。


そして、何でかな。

ふと間野さんとも、こうやって偶然に、一緒に飲めたら。

なーんて事を、考えてしまった。