先輩の彼女

そこは、会社から10分ぐらいの場所にあった。

「会社の裏にあるなんて。穴場だね。」

「でしょ?」

谷岡君のところへウェイターがやってきて、窓際の席に案内された。

「何飲む?」

谷岡君がドリンクのメニューを、見せてくれた。

「谷岡君は、何が飲めるの?」

「なんでも飲めるよ。」

そう言って、にっこり笑った。


ちょっとちょっと。

まだ二十歳だって言うのに、何でも飲めるって、それはないでしょ。

「ああ……じゃあ、カシスオレンジ。」

「僕も同じモノ。」

ウェイターさんが離れて行った後、谷岡君は顔を近づけてきた。

「本当にカクテルでよかったの?ビールやワインもあったのに。」

私って、どういうイメージなんだ?

「実は私……お酒あんまり飲めないんだ。」

「へえ。ビールも?」

「ビールは飲めるけど……こういう場所ではね……」

見渡すけれど、本当にお洒落なお店だ。