先輩の彼女

『早くしろ。』

要するに自分の仕事を、私に押し付けたわけね。

はい。

今、コピーしますよ。

私は次から次へと出てくる資料をまとめ、5部になったところで、自分の席へ持って行った。

そうそう。

段ボールの中に、ホチキスがあったはずだ。

ガサガサ、段ボールの中を探していると、今度はコピー機の方から人の声が。

「これ、コピーしてたの、誰?」

「はーい。」

早いな。

さすが営業部のコピー機。

編集部のボロコピー機とは違うわ。

残りの5部を引き取りに行き、また自分の席に戻って来た時だ。

間野さんが、私の席に置いていた最初の5部を、ホチキスで留めてくれていた。


「有り難うございます。」

「別に。俺が頼んだ仕事だから。」

そう言ってまた、持ってきた5部を留める間野さん。

仕事が早い。

あっという間に、資料10部が出来上がった。

「部長!出来ました!」