先輩の彼女

「そこで待ってろ!」

「はい!!」

怒りながらズンズン自分の席に戻って行く間野さんの姿が、サイズを縮小したコジラに見える。

しばらくして、間野さんは何も持たずに、コピー機まで歩いて来た。

「出たか?」

「何がですか?」

「資料の1枚目だよ!」

間野さんが大きな声を出した時に、コピー機は急に“ピッ”という音を出した。

そしてスーっと流れてくる、印刷された紙。

「それだ。」

私が印刷された紙を手に取ると、すかさず私に顔を近づける。


あのー。

近いんですけど。


「よし。これを使え。」

「えっ?」

「今度はグチャグチャにするなよ!」

そしてまたドスドスと、帰って行く。

もしかして、私の為にやってくれた?


「間野!会議の資料、いつできるんだ!」

「今、コピーしてます!」

立ち上がった間野さんは、後ろを振り返ると、私に向かって手を動かした。