神様は私を愛しすぎです！

紬が「無理！無理！」と連呼すると、母はクスクスと笑い出す。紬は「何笑っとるん？」と少し怒りながら言った。母はクスクス笑い続けている。

「紬、それはただの神話やで。神話は人が作ったものやから、どす黒い世界とちゃうの。日本を創ったイザナミ様とイザナギ様は昔から二人仲良く生きとるし、醜いと言われたイワナガ姫様も素敵な神様と結ばれて幸せになっとるんやで。神話と本当の神様はちゃうの」

母に言われ、紬は「じゃあこの話って作られたものなん？」と訊ねる。母は大きく頷き、紬の体からフッと力が抜けた。

「よし、じゃあ早速着替えて会いに行こか」

紬がホッとしたのも束の間、母に腕を掴まれてズルズルと引きずられていったのだった。



紬はよそ行きのグレンチェックのワンピースに着替えさせられ、そのまま伊勢神宮に連れて来られた。多くの人で賑わっている。

紬は、家族と一緒に伊勢神宮に来ることが多かった。何かあるたびに伊勢神宮に行ってお参りをする。そして、おはらい町で買い物をすることが多く、紬の持ち物はスヌーピー茶屋で買ったものであふれている。