神様は私を愛しすぎです！

化学の先生は、黒板に水星から海王星までを書いた。そして二列目の人たちの前に立つ。

「水星から順番に英語で何て言うか、一人ずつ答えてって」

そう先生が言った刹那、山田の顔が真っ青になる。彼は勉強の中でも特に英語が苦手だ。真っ青になるのも無理はない。

「マーキュリー」

「ヴィーナス！」

「アース」

「マーズ！」

ついに山田の番になってしまった。山田が答えるのは木星だ。紬は「ジュピターだよ」と教えた。山田の顔がパアッと笑顔に変わる。

「ありがとう！」

山田はそう言い、「ジュピター！」と答えた。

そしてその日のお昼休み、紬は山田から「これやるわ。午前中のお礼」とイチゴミルクをもらった。それはたまに、紬が飲んでいるものだった。

「ありがとう！」

紬がそう言うと、山田はますます頬を赤く染めた。



学校が終わり、紬は急ぎ足で伊勢神宮へと向かう。友達と話したアマテラスのことを話したくてたまらない。頰がつい緩んでしまう。

強引に恋人にされたとはいえ、恋人が褒められると嬉しいものだ。紬は足を止めることなくお屋敷の前に立った。