「夏恋さん!こ、うは!?洸はどうしたの!?」

「長い間連絡できなくてごめんね」

まただ。
またさっきと同じような笑顔を向ける。

「話を聞いてもらえるかな?」

夏恋さんは私を病室の外に連れて行った。

ベンチに腰掛ける。

「ゆずちゃんは、3年前、洸と別れたよね」

「はい...」

「きっと洸に嫌われてるって思ってたでしょ」

「嫌われてるんです。きっと...」

「いいえ。そうじゃないわ。洸はあなたのことが大好きだった」

夏恋さんの声がとても細くて、今にも泣き出しそうな声だ。

「...どういうこと、ですか」

私は嫌われてた。
だからきっとあんなにかんたんに別れられた。
冷たい声を出せだ。
そう思ってた。

「洸はね、病気なの。肺がんよ。」