「いらないってば!!」 自分でも驚く程、大きな声が出た。 その時。 陽斗くんが一瞬目を見開いて、眉を下げて悲しそうに笑ったのが見えて。 何故か胸がズキンと痛んだ──。 あたしはそのまま奥の部屋に籠ったのに、 「どうしたのかしら?」 「昼間、修羅場見られちゃってー」 「あらあら、羨ましいわー」 扉の向こう側の、お母さんと陽斗くんの軽い笑い声が耳に入ってくる。