相手を確認してギョッとする。
(え!?)
「よっちゃ・・・・・・・吉田さん。」
「・・・・・。」
そこにいたのは、吉田都司子。
泣きそうな顔で、私を見ながら立っていた。
(いや、お前にされた仕打ちを思えば、泣きたいのはこっちだよ。)
心の中でツッコミを入れ、無視して進むことにした。
ス・・・
サッ!
右に行こうとすれば、その行く手を阻む吉田。
「・・・。」
なんだよ、こいつ?
そう思って、左側に行こうとすれば、
スッ・・・
サッ!
「!?」
また私の行く手を阻む吉田。
(マジなんだよ、こいつ!?)
仕方ないので、正面を進もうとすれば―――――――――
ススッ!
ササッ!!
「っ!!?」
(喧嘩売ってんのか、クソアマ!!?)
やっぱり私の行く手を阻むバカ吉田。
(なんだこいつ!?俺に用でもあるのか!?)
反射的に凛道連モードになる。
ギロッ!!
うっかりメンチを切ってしまう。
「ひっ!?」
叫ばれて我に返るが・・・・私、悪くないよね?
〔★無罪判決の行為だ★〕
後ずさりする相手を無視して、その横を通る。
今度は邪魔されなかった。
あー良かったと思いながら、そのまま通過しようとした時だった。
「あ・・・あたし・・・残れることになった。」
「?」
無視していこうと思ったら、何かしゃべった。
思わず立ち止まって横を見る。
すると、同じように私を見ている吉田が目に映る。
「ふ、渕上さんのおかげで、退学にならなくて済んだ!あ、あんたにしたこと、警察にバレると困るからって、渕上さんがもみ消してくれたの!」
その言葉で、動けなくなる。
アンタニシタコト?
(レイプ未遂のこと・・・・・・・?)
それをもみ消した?
もみ消し―――――――――――――!?
「あ・・・・・・・・あんな犯罪をなかったことにしたって言うの!!!?」
「なにしてんねーん!!!!?」
私の罵声をかき消すほどの陽気な声が上がる。
「ひっ!?」
「え!?」
(この声は――――――――――!!?)
声がした方を見れば、口の両端をあげて笑う1人の人物。
(ヤマト!?)
すべてを知る男、五十嵐ヤマトが私達を見ていた。


