その日の学校は、不審者がうろついているというよくわからない理由で午前中で終了、速やかに下校せよとのことで早く終わった。



(『GREAT STAGE』の件が関係してるのかもしれない。)



その証拠に、私のクラス以外のクラスから、数人ずつが生活指導に呼ばれていた。

私のクラスは渕上ルノアがいるため、免除になったらしいと、廊下で隣んクラスの女子が小声で話しているのが聞こえた。





(・・・・・良くも悪くも、渕上ルノアの影響力は強いのね・・・・・)





手ごわいいじめっ子のボス。





(どうやって倒せばいいのか・・・・・。)





菅原凛のスキルだけでは、無理なのかもしれないと不安になる。





(凛道蓮のスキルを使えば、討伐できるかもしれないけど―――――――――――)





それはダメ。


凛道蓮は、真田瑞希様との恋愛成就のために重要なキャラクター。





(菅原凛の問題は、菅原凛で解決しなきゃ・・・・)





てか、気分が滅入るから、もう考えるのはやめよう。







(今心配すべきは、瑞希お兄ちゃんのお店の状態!!)





今月はお店を開けるって言ってたけど、そちらに支障(ししょう)はないのかしら?

ちゃんと弁償させられそうなのかしら?

私だけ、お店に戻らなかったから、どうなったか把握(はあく)できてない。

瑞希お兄ちゃんにLINEは送ったけど、「大丈夫、心配すんな!」の返事だけ。





(本当は、放課後にヤマトに聞こうと思ってたんだけど――――――)





「早く帰りなさい!」

「寄り道するなよ!」



下駄箱に続く廊下に立っている教師達が口々に言う。





(これじゃあ、学校で、『菅原凛』でヤマトと落ち合うのは無理か・・・)





仕方ない。



優等生らしく、言われた通り帰宅する方を選んだ私。

さっさと凛道蓮になって瑞希お兄ちゃんの家に行かなきゃ!

どこまで壊れてるのか、お店の再開がいつになるのか、確認しなきゃ!

下駄箱でくつをはき替えて外に出る。

急ぎ足で校門を出た時、目の前を人影がよぎった。