彼は高嶺のヤンキー様6(元ヤン)




体勢を立て直す前に、キレた神城からの再攻撃が―――――





「「やめて!」」





神城龍志から来ることはなかった。





「ひっぐ!ひっく!やめてよぉ~龍ちゃん!」





見れば、亜都子ちゃんが泣きながら神城に抱き着いて動きを止めていた。





「あ、亜都子。」

「亜都子・・・」

「やめてちょうだい・・・神城総長。」





瑠華さんは、瑠華さんで、私を抱きしめて、守るようにかばっていた。





「瑠華・・・」

「瑠華さん!?」





さっきまで私をののしって、怒っていたのがウソみたいな表情で。





「瑠華、亜都子・・・オメーら、凛道蓮をかばう気か?」

「そうよ。私はあなたの仲間じゃない。もちろんこの子も違うけど・・・借りが出来た。わかるでしょう?それに―――――――」





心底、悲しそうな表情で彼女は言う。





「もうケンカはたくさん。見たくないの・・・・・」

「瑠華さん・・・」

「瑠華・・・」

「瑠華姉の言う通りだよ!もうたくさんだよ!」


「そうですね・・・僕もクズ共に関わるのはたくさんです。」

「てめぇ凛道蓮!?龍志にぶっ飛ばされて座り込んでる奴が、なに生意気言ってー!」

「やめてよ、お兄ちゃん!」

「で、でも、亜都子!」

「やめてよ・・・!!」





妹の涙の訴えに、振り上げたこぶしを下ろす兄。





「うっ、うっ、ひっく、ひっく!」

「・・・泣かないで、亜都子ちゃん。」





神城龍志にしがみつく美少女に私は言った。





「もう僕は、君のお兄ちゃんとも彼氏とも、ケンカしませんよ。」

「凛道さん・・・」


(今だ!)





亜都子ちゃんが泣き止んだのを合図に、痛みを我慢しながら私は言った。





「引き上げるぞ。」

「え!?」

「凛さん!?」

「マジか、凛!?」

「俺、リンリンのカタキ取ってない系~」

「総長命令で引き上げだ。返事!」

「「「「「「―――――オス!!」」」」」」





そんな私に神城が言った。





「瑠華に感謝しろ。殺さなかったことで、貸し借りなしだ。」

「その言葉、そっくりそのままテメーに返してやる、神城龍志。さっきのセリフも・・・瑠華にこそ言うべきだった・・・・!!」





にらみあう私と神城龍志。





「だから2人ともやめてちょうだい!」

「瑠華さん、もうすぐ警察と・・・渡瀬さんが来ると思います。それまでこいつらと同じ空間でいることに我慢して下さい。」





不安げな瑠華さんにそれだけ告げると、仲間とともに部屋から出た。