体勢を立て直す前に、キレた神城からの再攻撃が―――――
「「やめて!」」
神城龍志から来ることはなかった。
「ひっぐ!ひっく!やめてよぉ~龍ちゃん!」
見れば、亜都子ちゃんが泣きながら神城に抱き着いて動きを止めていた。
「あ、亜都子。」
「亜都子・・・」
「やめてちょうだい・・・神城総長。」
瑠華さんは、瑠華さんで、私を抱きしめて、守るようにかばっていた。
「瑠華・・・」
「瑠華さん!?」
さっきまで私をののしって、怒っていたのがウソみたいな表情で。
「瑠華、亜都子・・・オメーら、凛道蓮をかばう気か?」
「そうよ。私はあなたの仲間じゃない。もちろんこの子も違うけど・・・借りが出来た。わかるでしょう?それに―――――――」
心底、悲しそうな表情で彼女は言う。
「もうケンカはたくさん。見たくないの・・・・・」
「瑠華さん・・・」
「瑠華・・・」
「瑠華姉の言う通りだよ!もうたくさんだよ!」
「そうですね・・・僕もクズ共に関わるのはたくさんです。」
「てめぇ凛道蓮!?龍志にぶっ飛ばされて座り込んでる奴が、なに生意気言ってー!」
「やめてよ、お兄ちゃん!」
「で、でも、亜都子!」
「やめてよ・・・!!」
妹の涙の訴えに、振り上げたこぶしを下ろす兄。
「うっ、うっ、ひっく、ひっく!」
「・・・泣かないで、亜都子ちゃん。」
神城龍志にしがみつく美少女に私は言った。
「もう僕は、君のお兄ちゃんとも彼氏とも、ケンカしませんよ。」
「凛道さん・・・」
(今だ!)
亜都子ちゃんが泣き止んだのを合図に、痛みを我慢しながら私は言った。
「引き上げるぞ。」
「え!?」
「凛さん!?」
「マジか、凛!?」
「俺、リンリンのカタキ取ってない系~」
「総長命令で引き上げだ。返事!」
「「「「「「―――――オス!!」」」」」」
そんな私に神城が言った。
「瑠華に感謝しろ。殺さなかったことで、貸し借りなしだ。」
「その言葉、そっくりそのままテメーに返してやる、神城龍志。さっきのセリフも・・・瑠華にこそ言うべきだった・・・・!!」
にらみあう私と神城龍志。
「だから2人ともやめてちょうだい!」
「瑠華さん、もうすぐ警察と・・・渡瀬さんが来ると思います。それまでこいつらと同じ空間でいることに我慢して下さい。」
不安げな瑠華さんにそれだけ告げると、仲間とともに部屋から出た。


